通信距離を延ばすために

無線の通信距離は様々な条件に左右されます。例えば、アンテナの高さ、障害物、壁や天井での電波の反射や吸収、周囲の電波のノイズなどの組み合わせで著しく変化します。よって、電波の伝播の仕組みをある程度理解しなければ、期待通りの通信性能を得ることはできません。これは無線機器を扱う上で共通した注意点です。

以下に通信距離を延ばすための注意点を掲載します。TWE-Lite DIP

アンテナの設置方法

以下にアンテナ設置時に注意する点を記述します。

障害物

特に鉄板や鉄筋コンクリート、電波シールドフィルムの貼られたガラスは電波を大きく妨げます。

アンテナの高さ

アンテナの周囲

電波のノイズ

指向性

アンテナの向き(偏波)

無指向性アンテナの特性

以下は無指向性アンテナから出る電波とアンテナの感度の概念図です。図に示すようにアンテナを真上から見た場合、円状に電波が放射されます。側面から見た場合は図のように横方向に電波が放射されます。よって、ドーナツのような形状で電波が放射されます。この条件をご理解の上、アンテナを最良の条件で設置して下さい。

マッチ棒アンテナ

このように電波が放射されるため以下のようにアンテナが設置された場合に最も通信条件が良くなります。

マッチ棒アンテナ

アンテナに高低差がある場合は通信条件が悪くなります。

マッチ棒アンテナ

以下のように完全に上下に設置された場合は最も通信条件が悪くなります。

マッチ棒アンテナ

ただし、以下のように両方のアンテナを水平方向に設置すれば通信条件は良くなります。

マッチ棒アンテナ

以下のようにそれぞれのアンテナの向きが同じでない場合は通信条件が悪くなります。

Zigbeeアンテナ

アンテナの高さと距離の関係

アンテナの高さと通信可能距離とは関係があります。電波の伝播で”見通し”という場合は、アンテナ間の直線上に障害物が無いだけではなく、フレネルゾーンが確保できているという意味になります。以下にフレネルゾーンを説明します。

フレネルゾーン

電波はアンテナ間を結んだ線に対して回転楕円体の形状で広がり伝播します。この空間をフレネルゾーンと呼びます。フレネルゾーンの一部にでも障害物があれば通信距離に影響します。

フレネルゾーン

 

以下のグラフはアンテナ間の距離とフレネルゾーンの半径の関係です。このように距離が延びるとフレネル半径が長くなります。よって、長距離の通信をする場合はアンテナの高さを適切に上げる必要があります。

フレネルゾーン

一般にフレネルゾーン半径の60%を確保できれば通信を良好に行えるといわれています。以下のグラフはフレネルゾーン半径の60%とアンテナ間の距離の関係を表したものです。

フレネルゾーン

以上、お互いのアンテナが見えている状態でもフレネルゾーンが確保できていない場合は電波が減衰してしまい期待する通信距離が得られないということになります。1kmの通信をさせる場合は約3mの高さが必要になります。アンテナ高が不十分な場合は地面が障害物となり通信距離が短くなります。地面に直接置いた場合は通信距離が著しく短くなります。

人が無線端末を手に持った高さの場合は通常100m~200m程度の通信距離が期待されます。

障害物による減衰

以下はパスロスのグラフです。リンクバジェットに対しての通信距離を示しています。電波強度は距離が2倍になると4分の1になります。そして、障害物があると通信距離は著しく短くなる性質を持っています。

TWE-LITE DIPは自由空間で約1km通信できますので、リンクバジェットは約100dBあることになります。例えば障害物としてコンクリートの壁があるとします。一般に厚さ10cmのコンクリートは10dB~15dB程度の減衰をさせます。よって、10cmのコンクリートを通過した後のリンクバジェットは85dB~90dB程度に下がります。この時点での通信可能距離は200m~300mになります。格子状に鉄筋が入ったコンクリート壁は更に大きく減衰させます。室内の石膏ボード製の間仕切りやドア、窓ガラス等は数dBの減衰があります。電磁波シールドフィルムが貼られているガラス窓は数十dB減衰させます。障害物を通過するたびにリンクバジェットは大きく減っていきます。大きな建物の裏側に通信する場合は通過する障害物が多くなるため、不利になります。

パスロス